・武漢艾可亜人材諮詢有限公司
                                                                                                                  中国のワイン市場
                                                                                                                  bi.gif <ワインブーム>


                                                                                                                  20070801183440_2.JPG最近上海で友人の結婚披露宴に招かれた。出席者への贈答品に花嫁のウェディングドレス姿をラベルにしたワインを配ったが、とてもおしゃれで、個性的な一品であった。街中でも、カルフールなど外資系のスーパーマーケット以外でも、普通にワイン専門店を見かけるようになった。又、外商独資のレストランが解禁になった2000年以降、外国人経営のイタリアン、フレンチ、フュージョン系のレストランも急速に増えており、上海常駐の外国人以外に、中国人客も、欧米人客と並んで普通にワインと料理を楽しんでいる。中華料理のレストランでも、普通に中国産並びに外国産のワインをメニューに入れており、高級レストランでは専門のワインリストを提供する店もあるほどだ。

                                                                                                                  <ワイン消費量の現状>
                                                                                                                  中国のワイン消費量は、ここ数年毎年10%以上の伸びを見せており、2005年の統計ですでに410万hl(百リットル)に達している。これは世界第10位の水準で、既に日本の同年237.7万hlをはるか超えている。イギリスのISWR/DGR研究機構の調査データによると、2010年全世界ワインの予想消費量は2.4億hl、その内、中国のワイン消費量は558万hlと世界第九位に達すると言われている。発展の速度から言えば、中国が全世界で最もホットなワイン市場であることは間違いない。

                                                                                                                  <国産ワインの状況>
                                                                                                                  中国のワイン消費量の410万hlの内、約80%が国産、20%が輸入ワインと言われている。中国国産ワインはメーカーの寡占化が進んでいて、長城、王朝、張裕等7つのメーカーで業界の90%近くのシェアを握っている。確かに、中国の中華料理店で出されるワインは殆どが格安(レストランの価格でも100元前後が主流)の中国ワインであるが、味となると確かに輸入ワインにはかなわない。もともと外国人の技術者を導入し、最近は、高級品種カベルネソーヴィニオン種の葡萄を使ったワインが出回り始めているが、それでも全体的な印象は、味も香りも薄く、まだまだ輸入物とは比べものにはならない。おそらく、日照条件、土壌、水質など自然条件の制約が影響しているのではないかと予想する。こうした自然条件は、そう簡単には改善できないので、いくら優秀な外国人技術者がいても、レベルを上げるには相当時間が掛かるはずである。

                                                                                                                  <輸入ワインの前景>
                                                                                                                  一方、シェア20%を占める輸入ワインは、現在、旧世界ワイン(フランス、イタリア、ドイツ等)、新世界ワイン(アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ等)とも殆どの国のワインが手に入る。筆者が上海で購入した経験から言えば、味はどんなにはずれても国産ワインよりは上のレベルを維持している。値段は、小売店価格で100元から300元前後が主流で、40元〜300元程度が主流の国産ワインと比べてもそう大した差は無い。ということは、これから中国の消費者の選別嗜好が高まるにつれて、同じ値段であれば(よほど愛国者で無い限り)輸入ワインを嗜好するのは間違いない。又、今回ヒアリングしたワインショップでは、最近は、中国人のお客さんも、少し濃い味わいのオーストラリア等のワインを指定する人が多いと話していた。ワインの輸入関税もかつての44.6%から14%まで下がっており、今後、輸入ワインのシェアが高まるのは間違いない。

                                                                                                                  <輸入ワイン取り扱い業者>
                                                                                                                  輸入ワインの需要が高まるなかで、輸入業者の競争も激しくなっている。現在上海でよく名が知られている輸入ワイン取り扱い業者は、ASC精品葡萄酒公司、班提酒業(上海)有限公司―Panati Wine、駿徳酒業―Jointek Fine Wines、美夏国際貿易(上海)有限公司−Summergate、富隆酒業―Aussino World Wines等がある。日系では、高級ワインに力を入れている上海漢和貿易有限公司が健闘している。最近、こうした業者はプロモーションの一環として、高級レストランやホテルと提携してワインディナー、テイスティングパーティを開催している。又、最大手と目されるASC(自称輸入シェア30%)は、中国で初めて、ワイン文化普及のための国際組織WSET(Wine & Spirits Education Trust)の資格認証の権利を取得し、中国で資格取得のための教育コースを運営している。こうした業者は、ハイエンド向けの商品では、30%〜50%の粗利を確保していると言われ、こうした1本1000元を超える高級ワインの需要も増えているという。そういえば先日知り合った重慶の食品会社社長は、自宅の地下にワインセラーを持ち、世界のビンテージ物のコレクションが自慢であると話していた。

                                                                                                                  20070801183927_1.JPG 20070801183927.JPG

                                                                                                                  <ビジネスチャンス>
                                                                                                                   現在の中国の輸入ワイン市場は、先ずは外国人と一部の富裕層が牽引しているものと思われる。富裕層とまではいかなくとも、もっともおしゃれに敏感な大都市の高学歴のホワイトカラーも有望な市場だ。彼らは、普通に海外旅行に行くため、自然と海外のワイン文化にも親しんでいる。デート、家族の会食、友人との集まりにもワインのある空間が浸透している。今後このような層が、よりワイン文化にも興味を持つようになると、市場は更に拡大するに違いない。

                                                                                                                  ビジネスチャンスは、時事通信社が発行している時事速報上海便に連載しております。
                                                                                                                  (毎月第四金曜日に掲載)

                                                                                                                   
                                                                                                                  CMSならドリーマASP