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中国への日本産コメ輸出
日本食ブーム、富裕層および在留日本人の増加で「日本産のおいしいおコメを中国に輸出できないか?」という相談を弊社でも何度か頂いたことがありました。これまでのところ、答えは「No」でした。中国では「輸入植物および植物産品リスク分析管理規定」により相手国、品目ごとに個別に検疫基準を定めており、日本からのコメの輸入については当該規定が未整備のため、輸入を差し止められていたからです。 これに対し、日本の農林水産省は2004年にコメ輸出を申請しましたが、それまで実績がなかったため、害虫防御など検疫上のリスク評価を要求され、事務レベルで協議が続いてきました。そして、本年1月に訪中した松岡利勝農水相が李長江国家品質監督検験検疫総局長と会談し、日本のコメの対中輸出解禁で基本合意。今後、技術的な細部を詰め、今年4月の温家宝首相の訪日までに最終決着させ、日本側は当初、年数万トン規模でスタートさせたい意向であることが明らかになりました。 中国へのコメ輸出を考えていた企業にとっては、ビジネスチャンス到来。しかし、下記諸点について注意、検討が必要になります。
●中国の会社を絡ませる 上海市傘下の食料専業商社である上海良友(集団)有限公司にヒアリングしました。同社は輸入割当枠を持っていないので、日本からコメを輸入するとすれば、中央所属の国営企業(中糧集団)の名義で彼らの輸入割当枠を利用するとのことでした。現状、能動的に日本米の輸入を取り扱う予定はないが、日本の輸出者が中国のスーパーなどの業者と直接商談をした、輸入手続きだけを依頼するのであれば、取り扱う可能性はあるとのことでした。関税のほかに、輸入業者を通すコストを見込んだ上でのコスト積算が必要となります。
●中国産コシヒカリと同価格帯 日本で流通しているブランド米の価格は5kg当り1500円〜2000円で、上記、日本元来種の中国市場価格とそう変わりません。これに流通コストと特恵国産品に対する輸入関税(枠内1%、枠外65%)+増値税(付加価値税)13%をプラスしていくらで価格設定できるかに市場開拓のカギとなるところです。
●販売戦略と今後の展望 消費者に対しては、キャンペーンを展開する必要があります。日本政府が旗振り役となりそうで、輸出奨励のために種々の優遇、支援などの政策を設けることも予想されます。 今後は、事前に情報収集、マーケティングを行い、中国側がコメ輸入解禁をした場合にいかにスピーディーに対応できるかが、勝負のカギとなるでしょう。最後に、コメを輸出する場合には、日本国内において事前に近くの地方農政局、農政事務所へ輸出数量の届け出を行うこととなっていますので忘れずに。 ビジネスチャンスは、時事通信社が発行している時事速報上海便に連載しております。 (毎月第四金曜日に掲載) |
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