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                                                                                                                  感性の時代(19)日本の「嫌中感情(反中感情)」
                                                                                                                  当記事は中国の金融証券関係者が多く購読する(定期購読2万部)月刊誌「科学と財務(VALUE)」に中国語で連載しております。ここに日本語に訳した文章を転載いたします。

                                                                                                                  科学と財富 VALUE 2007年10月号
                                                                                                                  感性の時代(19)日本の「嫌中感情(反中感情)」

                                                                                                                  アクアビジネスコンサルティング 代表取締役 高田勝巳

                                                                                                                  現代の日本企業にとって中国は主要な生産基地であり、重要な市場でもある。この数年の日本の好景気は、企業の経営努力と中国の安定、発展と落ち着いた日中関係に因る部分も少なくない。現在日本は、中国製品なくしては最低限の衣・食・住の生活水準を保つ事が難しいともいえる。中国にとって日本の投資、そして日本向けの輸出は中国経済を動かす動力の1つである。また、この両国間の密接な経済交流が両国の平和共存を築く礎であることは間違いない。

                                                                                                                  しかし、交流が多くなり関係が密接になればばなるほど摩擦も多くなる。日中経済の密接な関係は日中両国の政治家、官僚、ビジネスマンたちによって懸命に築かれてきたので、これら関係者たちは実際に中国の、そして日本の実情を肌で感じて知っている。しかし両国の庶民が目にするのは、日本にある中国製品、中国にある日本製品だけである。そこから相手が何を考え、どのように生活しているか想像するのは難しい。故に新聞、マスメディアの表面的な言葉に簡単に振り回されてしまう。実際、最近改めて、さまざまな理由から起こる「反日感情」、「嫌中感情」がクローズアップされている。

                                                                                                                  中国人の「反日感情」は過去の日本軍中国侵略の歴史が根源にあるようだ。反対に日本の「嫌中感情(反中感情)」は、現在が原因となっている。例えば、数年前に起きた中国での反日デモ。日本のテレビは毎日デモの過激な場面のみをこれでもかと放送した。また最近日本のマスメディアが中国食品の安全性問題を報道したことがきっかけで、中国食品の安全性、曳いては中国自身に対する不信感が強まっているようだ。

                                                                                                                  この種の問題は、日中両国間を頻繁に移動し実際の状況を把握している者なら冷静に観察・分析・理解できる。しかし、それ以外の人が得る情報は限られており、国際社会の情勢に疎いため容易に感情的、情緒的になる傾向にある。しかしだからといって、この感情、情緒を馬鹿にしてはいけない。世界の歴史を見てみると民衆の感情、情緒が歴史を左右している。最近ではアメリカで起きた同時多発テロがそうだ。同時多発テロ後の非理性的な政策は民衆の感情に操られた結果ではないか。一方、政府やマスメディアは自己の目的達成のために民衆の感情を徒に刺激することがあるが、しかし民衆の感情、情緒は一旦昂ぶると、誰もそれを制御できないことがある。歴史上にも多数の例がある。私は、日中両国で影響力のある人々、組織は一部の利益のために民衆の感情を徒に煽るべきではないと考える。少なくとも感情を煽る危険性を常に考え、情報を発布すべきである。

                                                                                                                  また、民衆が簡単に感情的、情緒になるのを防ぐためには、民衆の教養レベルを向上させる必要がある。ひとつの大事なポイントは、歴史教育である。日中両国は、歴史教育面での努力が足りないと、私は感じている。以下は日本人(私が一般的と考える)の「嫌中感情」の根源である。中国人読者の意見も是非拝聴したいと思う。

                                                                                                                  1.中国は将来の超大国とその潜在力を認めつつも、心中では所詮発展途上国と思っていたが、実際に中国の経済が急激に発展してそれが現実的になってくると、それに対する戸惑いと焦りが生じてきた。

                                                                                                                  2.歴史問題。靖国神社問題など、中国の主張がまったく理解できないわけではないが、理解できるところもあり、また理解できないところもある。ただ、中国のそこまで強烈な態度に反感を覚えると同時に歴史に対する認識不足もあり、なんとなく反感を感じている。

                                                                                                                  3.中国人は日本が行ってきた経済支援を感謝していない。

                                                                                                                  4.少なからぬ日本人が中国ビジネスで中国人に騙されたといって、注意を促しており、確かにこのようなマイナスイメージがある。

                                                                                                                  5.中国との経済取引で良好な業績を収めている大企業と、メリットを享受できていない日本の大衆との間に感覚的な差がある。

                                                                                                                  6.国境を越えた環境汚染と食品の安全性から生じた不信感。


                                                                                                                   
                                                                                                                  CMSならドリーマASP