・武漢艾可亜人材諮詢有限公司
                                                                                                                  感性の時代(21)起業家とナンバーツー
                                                                                                                  当記事は中国の金融証券関係者が多く購読する(定期購読2万部)月刊誌「科学と財務(VALUE)」に中国語で連載しております。ここに日本語に訳した文章を転載いたします。

                                                                                                                  科学と財富 VALUE 2007年12月号
                                                                                                                  感性の時代(21)起業家とナンバーツー

                                                                                                                  アクアビジネスコンサルティング 代表取締役 高田勝巳

                                                                                                                  私が現在の会社を設立してから、企業の健全な発展のために私の右腕となるナンバーツーが必要だとずっと考えていた。これまで全部で3人の副社長、副総経理を招き、会社の経営を分担したが、結局いずれも失敗した。失敗の原因は、先ず、第一に私のリーダーシップの欠如があるのだと思う。今思い出すと反省すべき点も少なくない。しかし最近、失敗のもう一つの大きな要因がほかの所にあるのではないかと感じている。それは、どうしても優れたナンバーツーが必要だと考えていたその固定概念そのものではないかということだ。

                                                                                                                  昨年、日本取締役協会の勉強会でオリックスの宮内会長の話を聞く機会があった。会長は、多くの企業家がナンバーツーを必要と考えているが、実際は必ずしもそうとは限らないとのことであった。年商100億円以下の規模の企業の場合、創業社長がワンマンで決定しても、上手く企業を統治できている例はいくらでもある。しかしその規模を超えると、通常は自分一人で統治するのは難しいので、優秀な右腕又は組織として企業統治をする必要があるとの話であった。もちろんそれ以下の企業でも優秀なナンバーツーがいるに越したことはない。もし自分が右腕を必要とするならば、決して他人を自分の複製品として期待してはならず、ある分野で自分より確実に優れている人材を選ばなければならないとのことであった。私はこの説明を聞いて、急に心に詰まっていたものが吹っ切れた気がした。私のこのような小さな会社はそんなに焦ってナンバーツーを探す必要はなく、先ずは自分一人でやり、会社内部でゆっくり人材を養成するか、或いは会社がある一定の規模まで成長した後に外から招聘しても間に合うのではないかと悟った。 

                                                                                                                  とはいえ、このような私にも小さな成功事例がある。弊社の会計部門を独立させて、2人のスタッフに出資させ、株を持たせ別会社を設立させたことである。この会社では、私は大株主にすぎず、会社の日常的な経営は完全に2人の経営者に任せており、私がする事といえば取引先の紹介と問題発生時の相談役にすぎない。このようにこの2人の経営者はそれぞれ董事長と総経理として、その積極性と独立精神をすべて発揮している。結果、お陰様で、この会社、まずまず順調に発展している。

                                                                                                                  また、最近、ナンバーツーについて、面白い意見を耳にした。日本で長年ベンチャー投資に参画し、少なからぬ上場企業を育成した経済界のフィクサーともいえる人物の意見である。その方のお話によると、創業社長がナンバーツーを求める時に、能力、学歴、経歴だけを考慮すると大半は失敗するとのこと。それよりも、一見、学歴、能力、外見とも見栄えはしないが、とにかく、社長に対する忠誠心が高く、社長のために命がけになれる人物であるとのことである。もし理論的に非常にあっていると感じ、互いに補いあえるパートナーであってもだめとのことである。もしただ理論上で思ったことで協力しあおうとすると、時として理論のために争う事もある。しかし感情の深い部分で共鳴できれば、不一致が起こりにくいと。

                                                                                                                  私は、この概念は、会社間のビジネス提携でも同じだと思う。所謂WINWINとは、言うのは簡単であるが、利益だけのWINWINでは往々にして関係薄弱である。目先の利益に問題があると、直ぐに崩壊してしまう可能性がある。利益でのWINWINと同時に、感性、心持、人生観で共鳴できるところがあってこそ、本当のWINWINになるのではないか。最近そんなことを考えている。


                                                                                                                   
                                                                                                                  CMSならドリーマASP