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当記事は中国の金融証券関係者が多く購読する(定期購読2万部)月刊誌「科学と財務(VALUE)」に中国語で連載しております。ここに日本語に訳した文章を転載いたします。
科学和财富 VALUE 2008年2月号
感性の時代(23)メーカーの天国から投資家の天国へ
アクアビジネスコンサルティング 代表取締役 高田勝巳
中国は、90年代後期以来外国から「世界の工場」と呼ばれた。この観点は、私は07年5月号の価値で「米中経済同盟」でも触れた。アメリカ企業は中国の長期変動がない安価な労働力と人民元を利用し、中国で輸出製品を生産し米国に輸出し、アメリカの消費者が持続的に安価な製品を消費することができると同時にアメリカ企業の株も上昇した。株価の上昇はアメリカ国内の消費を絶え間なく刺激し、アメリカ国内の消費を持続的に発展させ、世界経済の発展を促進し、ひいては、中国の輸出増加を促進した。中国で生産しているのはもちろんアメリカ企業だけではない。日本を初めとする世界各国のメーカーはみな中国で生産し、中国は「世界の工場」といわれ、中国は「メーカー天国」と認められた。 しかし、最近の中国と世界の形成を見てみると、状況が変化してきている。 1.ご承知のとおり人民元の為替レートは次第に上昇している。 2.今年新しい労働契約法が実施されたことによりメーカーにとって、間違いなくコスト上昇の要素となる。 3.中国も環境保護要求が強まり、これもコスト上昇の原因になっている。 4.石油価格の上昇はエネルギー利用効率が低い中国にとって不利になっている。(日本は中国の六分の一の石油で1元のGDPを生産することができる) 5.農業税の廃止が農村の発展と安定を促進させるが(これはよい出来事)、同時に農産品の価格と労働コストの引き上げを招いた。 よって、中国「メーカー天国」の地位は、次第に下がっている。同時に世界の投資家にとって有利な局面も出現した。 1.人民元の上昇。 2.農村の発展は農村及び中国政局の安定と国内消費の増加を意味する。 3.国内消費の増加は、更に多くの国内市場の優良企業の出現を促すと理解してよい。しかしながら、中国産業界の構造は、比較的単一な輸出主導型経済発展から輸出と国内市場が互いに融合した構造に向かいつつある。 4.人民元と石油価格の上昇は中国企業の省エネ、環境保護を促し、企業の技術密集型化を促進する。 5.上述した状況は中国国内の不動産市場を安定的に発展させることができる。 このように世界の投資家にとって、今後中国は生産基地としての投資先だけでなく、本格的な、中国企業投資(ベンチャー投資及び株式市場)並びに不動産市場の投資先としても期待することできるようになる。このような傾向にあるといってよい。従って、中国は今後「メーカーの天国」を卒業した後、「投資家の天国」に変わるということだ。もちろん、これは中国の各方面のマイナス要素を排除し着実に、安定的に発展できることが大前提であるが。 |
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