・武漢艾可亜人材諮詢有限公司
                                                                                                                  潤沢な民間資金をにらみ個人向けプライベートバンクサービスの激戦開始!!
                                                                                                                  bi.gif 潤沢な民間資金をにらみ個人向けプライベートバンクサービスの激戦開始!!

                                                                                                                  外銀の人民元業務への参入本格化が火付け役―

                                                                                                                  【従来の資産運用方法】
                                                                                                                  『資産運用=預金』、『余裕資金=預金』、私達は子供の頃からこういって育てられてきた。恐らく全く預金しない中国人はいないだろうと思う。そのため、中国国民の貯蓄率は、世界で一番高いといわれている。中国人民銀行の統計によると、2006年12月末時点での中国の国民貯蓄性預金(普通預金と定期預金)は16.7兆元(250.5兆円)に達し、前年と比べ、13.3%増加した。1980年末の399億元(5985億円)、1990年末の7034億元(10兆5510億円)と比較するとそれぞれ418倍、24倍も増加している。これは2006年の中国国内総生産数値(2006年は20.9兆元(313.5兆円))とほぼ同額である。2005年末の日本の国民預金総額が730兆円であることと比べても相当な規模であることが分かる。これは、同時に、改革開放以来の高度成長に伴い、民間資金が急激に蓄積され、特に経済発展地域の民間資金が充実していったことを示している。中国は既にかつての資金不足国家から流動性過剰の国家へと変化した。

                                                                                                                  【最近の資産運用の動向】
                                                                                                                  このような流動性過剰のなかで、中国の預金者は、高度成長優先のマクロ政策のため、銀行預金で運用しない限りインフレヘッジができない状況にあり、より有利な運用手段に対するニーズは相当高いものがある。しかしながら、それ以外の投資チャネルは相当限られており、これまでは、主に不動産と株式市場くらいしかなかった。海外市場への投資も厳しい外為規制で制限されている。そのなかで株式市場は、2006年初めに急騰するまでの5年以上の間、下落を続けるなかで、個人投資家からそっぽを向かれ、余剰資金はしばらく不動産に向いていたが、2004年から不動産価格上昇抑制政策が次々と施行されるなかでそれも下火になり、2006年からの株価の急騰により、今年に入っても引き続き株式市場が注目を浴びている。

                                                                                                                  しかしながら、多くの個人投資家は、自分で個別銘柄に投資するよりも、投資信託を選択している。なぜなら、2006年でこそ一本調子の上げ相場であったが、それ以前は5年間の下げ局面で、多くの個人投資家は、仕手筋の暗躍、インサイダー取引の横行などのなかで膨大な損失を蒙っており、自分で個別銘柄に投資して高いリスクをとるよりも、専門家に任せたほうが賢明であるという認識が高まっていることが背景にある。

                                                                                                                  投資信託は、中国証券市場の主要な機関投資家として、2006年の証券市場において大変活発な動きをしていた。2006年に新規募集した投資信託は4028億元(6兆420億円)、過去8年分の合計金額に相当する。2006年末の投資信託全体の株式保有比率は77.6%、株式型ファンドの株式保有比率は84.2%であった。2006年第四四半期の報告書が初回の情報開示となった18の新規投資信託の発表によると、2006年末の株式保有比率は平均で86%、最も高かったものは94.7%に達した。18の新規投資信託が保有している株式全体の時価総額は733億元(1兆995億円)に達し、投資信託全体の六分の一に相当する。投資信託の高い配当率は投資家の更なる熱烈な支持を受け、2006年末、証券投資型の投資信託の規模は6208.5億元(9兆3127億5000万円)になり、2005年より31.7%も膨らんだ。新しい資金は絶え間なくA株株式指数を押し上げ、最高値を更新していった。このため、昨年は新規の投資信託を購入するために銀行、証券会社で列をなす大衆の姿が話題になった。

                                                                                                                  【外銀の動き】
                                                                                                                  今年になり、外資系銀行の人民元業務への参入が本格化する中、4月から、外銀は現法の営業を始めたが、貯蓄業務が国内銀行の主力商品であるのに対して、外資系は正に『個人理財服務』(国内資産運用とQDII Investment Product)、つまり、個人向けプライベートバンクサービスに力を入れている。業務の本拠地が海外にあり、かつ金融市場からの資金調達や外国為替業務に精通した外銀ならではの商品といえる。先日、香港東亜銀行、スタンダード・チャータード銀行、及び香港HANG SENG BANKの上海支店に顧客を装いヒアリングしてきた。

                                                                                                                  個人向けにどんなサービスがお薦めですか?と聞いた所、三つの銀行からそれぞれ薦められた商品は以下の通りとなった。

                                                                                                                  1.東亜銀行:[指数鈎保本投資産品] (index-Linked Capital Protected Investment Product)
                                                                                                                  2.スタンダード・チャータード銀行:[股票挂鈎投資] (equity-Linked Capital Protected Investment Product)
                                                                                                                  3.HANG SENG BANK:[股票挂鈎保本投資産品](equity-Linked Capital Protected Investment Product)
                                                                                                                  銀行名商品名購入金額投資期間 利回り Index or stock basket
                                                                                                                  東亜銀行[指数挂鈎保本投資産品]
                                                                                                                  (index-Linked Capital Protected
                                                                                                                  Investment Product)
                                                                                                                  5千ドルから1〜3month4.80〜
                                                                                                                  5.05%
                                                                                                                  LIBOR 1month
                                                                                                                  スタンダード・
                                                                                                                  チャータード
                                                                                                                  [股票挂鈎投資]
                                                                                                                  (equity-Linked Capital Protected
                                                                                                                  Investment Product)
                                                                                                                  1万ドルから2.5yearsmax 24% 728HK/270HK/FMCN
                                                                                                                  US/STP US
                                                                                                                  HANG SENG BANK[股票挂鈎保本投資産品]
                                                                                                                  (equity-Linked Capital Protected
                                                                                                                  Investment Product)
                                                                                                                  1万ドルからaround
                                                                                                                  2years
                                                                                                                  10%p.a728HK/941HK/
                                                                                                                  2628HK/358HK

                                                                                                                  商品は三者三様だが、狙っているターゲットはどれも同じだ。外銀は、潤沢で余剰な国内資金に対し、これからも様々な金融商品と多様なサービスを提供して行くものと思われる。

                                                                                                                  20070517140832.JPG

                                                                                                                  更に、東亜銀行とスタンダード・チャータード銀行は中古住宅物件向けの外貨建て住宅ローンを始めた。 支店の人の話によると、外貨建てローンは人民元の切り上げを利用し、返済負担が少ない商品と言われた。借入額と返済額が外貨建てになる為、借入期間内に人民元が高くなればなるほど、人民元に換算した場合の返済額は減り、借りる人 にとって人民元建てローンより負担が軽くなるという。当然逆のリスクも存在

                                                                                                                  図:外銀理財商品の宣伝パンフ

                                                                                                                  するわけであるが。

                                                                                                                  今回、日本の銀行は取材できなかったが、日本の銀行も宝の山を放っておく手はないだろう。日系企業に対する業務を中心に規模を拡大している日系銀行であるが、今回ばかりは、相手が気心の知れた日系企業の財務担当者ではない。並み居る欧米系銀行、理財業務にも力をいれる地場銀行を相手に回し、どんな戦略をねっているのであろうか。日本の銀行の真価が問われている。

                                                                                                                  ビジネスチャンスは、時事通信社が発行している時事速報上海便に連載しております。
                                                                                                                  (毎月第四金曜日に掲載)

                                                                                                                   
                                                                                                                  CMSならドリーマASP