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                                                                                                                  中国株式市場の真実書評(日本経済新聞掲載記事)
                                                                                                                  中国株式市場の真実

                                                                                                                  張志雄著
                                                                                                                  高田勝巳著

                                                                                                                  中国が経営困難に陥った国営企業の救済を主目的として株式市場を設けたのは、一九九〇年、天安門事件の翌年のこと。実はまだ一七年の歴史しかない。そのうえ人民元の資本取引が自由化されていないせいもあって、市場の構造や内幕、実態は外国の投資家らには十分に知られていない。いまでも「公営賭博場」と揶揄されることがある。

                                                                                                                  一方で上海総合株価指数はこの二年余りの間に四.五倍以上に跳ね上がっている。なぜなのか。海外のマネーの動きから遮断されたこの市場で一体なにが起こっているのか。本書はそういった疑問に答えようと試みている。

                                                                                                                  著者はこの市場を観察し続けてきた中国名うての証券ジャーナリストと日本人の投資コンサルタント。中国の株式市場で横行するインサイダー取引や仕手戦、粉飾決算、横領、汚職などのスキャンダルを、具体例を挙げ紹介している。暗躍する上場企業や株成り金の実態も面白く読める。

                                                                                                                  今年二月末の世界同時株安は上海発だとする向きがある。中国と海外株式市場の間にマネー面のつながりは乏しいが、心理面でつながりがあったせいだろう。ただその後は、双方の動きにほとんど連動性が見られない。脱稿時期の事情もあって本書がそのあたりの分析にまで及んでいないのは残念だが、株式市場を通じて中国という国を見せている本ではある。

                                                                                                                  (ダイヤモンド社・二、四〇〇円)

                                                                                                                  【日本経済新聞2007年8月12日掲載】

                                                                                                                   
                                                                                                                  CMSならドリーマASP