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先週12月1日(金)に東京から北京に入り、昨日2月2日(土)に上海に戻ってまいりました。 途中、天津にもよりましたが、天津はかつての上海の如く至る所で旧市街の再開発が行われおりました。これまでどちらかというと北京の陰に隠れて地味なイメージの天津でしたが、今後は北方の金融センターにとの思惑もあるとのことです。北京に多くの国営銀行の本店が所在するなかで、正直ピンと来ないところもあります。昨年、天津で試行的に外資の投資ファンドの設立を認めるなど施策も出ておりますが、国営銀行の本店をすべて天津に移すくらいのことをしないと難しいような気もしました。中国のことですから、本当にそんなこともしてしまうかもしれませんが。 日本では毒入り餃子の話題でもちきりのようです。被害者の皆さんには一日の早い回復をお祈り致します。日本のメディアでも専門家が指摘しておりますが、これは単なる残留農薬の問題ではなく、どこかの過程で、悪意で農薬が混入された可能性が高いのではないかと思います。過失で混入された可能性がないともいえませんが、素人としては理解しにくいです。中国の公安当局が介入しているのこともこうした可能性を察してのことだと思います。推理小説ではありませんが、この問題による受益者は誰か。こう考えると、中国のこのメーカーに嫌がらせをしたい人、日本の販売業者に嫌がらせをしたい人、日本人そのものに危害を与えたい人、中国食品の信用に危害を与えたい人、単なる愉快犯などなどいろいろな仮説が成り立つと思います。(そんなことを本日ある上海駐在のお客様とお話しておりましたら、その方の奥様の意見として面白い仮説を聞きました。それは、餃子の皮を作る小麦粉に虫が湧いてしまい、それを捨てるのがもったいないからといって、小麦粉に殺虫剤を撒いて虫を除去したという説です。全くの仮説ですが、中国に生活するものとしては、さもありなんといった印象です。さすが主婦の洞察力は我々と違った視点があり興味深いです。) 今のところ中国政府の対応を見ていると極めて慎重な動きをしております。いずれにせよ、中国食品、製品の安全性が、日本ののならず世界で注目される中で、また、食品の安全性の問題からオリンピックのボイコットにまで発展しかねないような情勢のなかで、慎重になるのは当然のことと思います。中国のマスコミも、おそらく中国政府からのお達しがあるのでしょう、極めて慎重な態度を維持しております。日本のマスコミの対応は、私は現状インターネット上の情報とNHKのBSニュースくらいしか見れませんので、なんとも言えませんが、これまでのような劇場型大騒ぎをするのでしょうか。中国人も相当日本の対応側の対応に注意を払っていますので、是非言論人としての責任ある対応を願たいところです。面白おかしく大騒ぎすると、次は日本製品が問題を起こした時に、しっぺ返しを受けるだけです。だから、言いたいことを言うなということではありません。冷静で誠意ある大人として品格のある対応をしてもらいたいということです。両国政府またはメディアの喧嘩で、被害を受けるのは日本の企業、そして最終的には日本の消費者のはずです。 一方、日中の食品業界の方は、本当に頭が痛いと思います。これまで散々中国食品の安全性の問題が叫ばれてきて、品質管理体制など細心の注意を払ってきている中でのこの問題です。そもそも、食品に限らず、中国からの製品の輸入を行う業界は、低コストと裏腹に品質管理との戦いの連続であったともいます。そうしたなかで各業界の努力が実り、日本においてアパレル、雑貨、家電、電子製品をはじめとした中国製品が現在の市場を獲得したのだと思います。ただ、食品は人の口に入るものなので、品質管理は最も難しい業界なのだと思います。日本の市場では、中国食品の変え控えが起こるかもしれませんが、日本の家計にとっては、石油価格が情報による物価上昇の中で、中国以外の食品だけで維持するのはなかなかしんどいのではないでしょうか。外食産業も同じで、一人5000円、10,000円以上する高級レストランは別として、ファーストフード、ラーメン屋、ファミリーレストランすべて中国食材と切っては切り離せない状況になっています。中国が心配だからベトナムに移せばいいという問題ではありません。ベトナムに起こしたら起こしたでまた同じ品質管理の問題が発生します。 結局のところ、だれがどんなに騒いでも、日中両国の政府、業界が信頼回復のために地道な努力を続けてゆくしかないのだと思います。 中国は2月6日から12日まで春節休みとなります。弊社の上海事務所もこの通りの休みとなります。私は7日から17日まで東京におります予定です。 物騒がしい昨今ですが、中国に在住の皆さまは良い春節を迎えられますようお祈りいたします。 |
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